LEDコラム第31回:第4回次世代照明 技術展レポート - LEDのポータルサイト - LEDLED

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第31回:第4回次世代照明 技術展レポート
第4回次世代照明 技術展が1月16日~18日に東京ビックサイトで開催されました。LED・有機ELデバイスの開発・製造技術、照明器具の設計・製造技術、次世代照明が世界中から一堂に出展。3日間で合計24225人が来場しました。今回も材料について取り上げます。電気製品や電子機器では、物質的に安定な金属材料を各部位に用います。これをしばらくすると生産の効率化やコスト削減のため、安価なプラスチックを導入することがあります。今回は、既存の材料からの置き換えに新たなコンセプトで取り組んでいる製品に注目してみました。

第4回次世代照明 技術展レポート

日本電気硝子は様々な照明部材を出展しました。蛍光体ガラスはガラス基板に赤色や緑色の蛍光体を入れ込んだもので、青色LEDからの青色の光は透過、赤と緑色は蛍光体で色を変換し、RGB3色を作って白色で面発光させます。蛍光体は均一に分散されており、精密加工により極めて色のバラツキが小さいそうです。また、紫外線や熱、水に強いというガラスならではの特徴を持っています。この蛍光体ガラスを応用した製品として、プロジェクタ用波長変換ホイール材料が展示されました。MEMS方式の小型プロジェクタの映像素子はカラーホイールを通して映像を作り出しています。最近はモバイル機器にプロジェクタを搭載する製品も増えてきました。このため、モジュールも小型化されています。プロジェクタ用光源にはLEDやレーザが使われており、発光を回るホイールで受けてRGB変換し映像を作り出します。今回の展示品の厚さは100μmと超薄型化されています。 LEDパッケージ材料では粉末ガラスと粉末セラミックの複合材料LTCCと反射材料や絶縁材料に使われるガラスペーストも展示しました。
この他に、日本電気硝子は曲げられるフレキシブルガラスの展示を大々的に行いました。厚さ40μmという超薄型ガラスで、フィルムにはない耐熱性や光学特性、電気絶縁性、ガスバリア性、耐候性などが実現できます。加工においてもオーバーフロー形成法により、表面特性や表面粗さが良好です。実用化は10~20年後の次世代となるでしょうが、照明やエレクトロニクスだけでなく、医療やエネルギーなど様々な分野への応用を想定しているとのことです。プラスチックを支持基板にして両面をガラスで挟み込んだタイプでは、耐擦傷性が鉛筆硬度9H、ガスバリア性が1×10-6/m2・dayなどガラス特有の特性を持ちながら利用できる点をアピールしていました。
日本電気硝子のカラーホイール
日本電気硝子のレーザ光源用蛍光体ガラス
日本電気硝子のLEDパッケージ材料
日本電気硝子のフレキシブル硝子基板のデモ
日本電気硝子の超薄板ガラス・樹脂積層体
日本電気硝子の反射コントロール技術
日本電気硝子の光学フィルターガラス1
日本電気硝子の光学フィルターガラス2
日本電気硝子のガラスリボン


金属材料の置き換えを違った形で取り組んでいるのが阿波製紙です。製紙技術によるコーティング技術を応用して作成した、LED照明用冷熱フィン向け湿式炭素複合シート「CARMIX」を紹介しました。材料の黒鉛を紙にウェットコーティングしたもので、従来の金属製のヒートシンクに比べ1/3軽量化できるのが特徴です。放熱特性は金属フィンと同等の性能を持つ他、難燃性に優れUL94V-O相当となっています。ハードタイプの熱伝導率は厚さ方向で4w/(m/K)、高さ方向では50 w/(m/K)です。基材が紙なので、加工性にも優れ、折加工やハニカム、コルゲートなどの形状も可能です。同社では、金属フィンの重量では対応できない用途へ展開していきたいとのことです。 パナソニックは3D実装デバイス「MIPTEC」を紹介しました。照明用LEDパッケージ向けでは、光沢メッキにより同一投入電流で約1.3倍の高放射強度、同一放射強度で約0.75倍の省電流を実現。さらにLED実装部をセラミックス(Al2O3/AlN)や銅などの高放射(高熱伝導率)部材にすることで、高輝度向けパッケージに対応しています。形状・パターンも自由度に優れ、配光特性に合わせ自由自在にLEDチップを配置できよう凹または凸型などのパッケージへとカスタマイズできます。回路パターン変更も データの変更で対応でき、同一形状パッケージで1チップタイプと3チップタイプへの変更もスムーズに行えます。
阿波製紙のCARMIX放熱フィン
阿波製紙の放熱フィンのデモ
阿波製紙の放熱性能の比較展示


[上原清志,LEDLED]

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