LEDコラム第30回:第4回次世代照明 技術展レポート - LEDのポータルサイト - LEDLED

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第30回:第4回次世代照明 技術展レポート
第4回次世代照明 技術展が1月16日~18日に東京ビックサイトで開催されました。LED・有機ELデバイスの開発・製造技術、照明器具の設計・製造技術、次世代照明が世界中から一堂に出展。3日間で合計24225人が来場しました。今回は部品・材料について触れたいと思います。中国など海外で生産されるLEDは価格重視の傾向が強いですが、国内で生産される製品は性能や品質が重視されます。製品のさらなる性能向上を図るためには、部品・材料の進化が不可欠です。展示会場では、高輝度・照度、コスト削減に繋がる新製品をアピールするブースが数多く見受けられました。

第4回次世代照明 技術展レポート

古河電工は、超微細発泡光反射板「MCPET」と易成形性光反射板「MCPOLYCA」を展示しました。MCPETは平均気泡が10μ以下の超微細発泡気泡で形成された発泡PETシートで、照明器具や電飾看板、液晶バックライトなどの光反射板として使用されています。全反射率は99%、拡散反射率は96%。同製品を用いることで、光の利用効率が向上するため、器具に搭載するLEDやランプの数を削減できます。直管形LEDに用いた場合では、照度が約20%向上するとのことです。折り曲げや加工が容易で、施工が簡単にできるのも特徴です。ブースには採用されたシャープ製の照明器具が展示されていました。

同製品に改良を加えた新製品MCPOLYCAも展示されました。従来のMCPETの高い反射率に加え、成形性を高めました。MCPETは結晶性樹脂を用いていましたが、MCPLOYCAは非晶性樹脂のポリカーボネートを採用しており、複雑な形状や深絞りの真空成形が可能となっています。MCPETよりさらに細かな超微細発泡構造により全反射率100%、拡散反射率93%を実現している他、可視光領域の全ての波長に対してほぼ均等に高い反射性能を発揮します。反射はポリカーボネート内に気泡を設けたことで拡散反射率成分93%を確保し、さらに基材表面に光沢処理を施すことで鏡面反射成分7%を得ることにより、100%の反射率を実現しています。
超微細発泡光反射板「MCPET」
MCPETを直管形蛍光ランプに用いた際の説明
採用されたシャープ製の照明器具


王子製紙は拡散シート「パルーチェ(PL)」を展示しました。光の拡散角度をコントロールし、照度低下を最小限に抑えながら、LEDのムラ消しと省エネを同時に実現。さらにコストパフォーマンスにも優れています。拡散はシート表面に塗工した透明の樹脂粒子が面状に透過光を拡散させ、LED照明の照度を確保します。拡散角度は塗工処理により10~30度でコントロールできます。大型ロールで生産しており、数十m長の大型にも対応可能です。新製品の拡散シート「ナノバックリング(NB)」はLEDの照度を確保しながら、さらに省エネ効果が向上。眩しさやLEDムラも低減できます。例えば40W×2の蛍光灯と同等の明るさを確保する場合、LEDを使用すると43%の省エネに繋がりますが、これに同製品を使うとさらに56%まで高まります。また、一般の拡散板から置き換えるだけでも照度は25%アップします。
王子製紙の拡散シート「パルーチェ(PL)」の展示1
王子製紙の拡散シート「パルーチェ(PL)」の展示2
王子製紙の拡散シート「パルーチェ(PL)」の展示3
王子製紙の拡散シート「パルーチェ(PL)」の展示4


五洋紙工は、両面レンズシートを参考出展しました。直管形やダウンライト、電球など様々なLED製品に向けたもので、ポリカーボネート製240μ厚シートの両面に光学レンズパターンが形成してあります。これにより、眩しさを軽減しながら高透過率を維持し、配光を拡大することが可能です。透過率では乳白色のカバーをつけると10~30%エネルギーがロスしてしまいますが、同製品はシート透過率93%のみで僅かなロスで済むそうです。配光は一般的なLED製品では180度ですが、同製品を用いると背面まで光が届き、部屋全体を明るく照らしてくれます。
五洋紙工の両面レンズシート1
五洋紙工の両面レンズシート2
五洋紙工の両面レンズシート3


大橋製作所はLEDフリップチップ実装装置「LMS-2000」を実機展示しました。ソニーケミカル&インフォメーションデバイスのLEDのフリップチップ一括実装材料「Anisotropic Conductive Adhesive(LEP)」向けの装置で、従来のLEDは光を取り出す側の基板に電極があり、細かなワイヤーで接続するワイヤーボンディングという手法で実装されていましたが、同方式では基板の裏面に電極を設けて、導電性接着剤でそのまま実装してしまうフリップチップという手法を採用しています。これにより、モジュールが小型化でき、光取り出し効率や信頼性の向上、多くのチップを一括で実装するといったことが実現できます。接着剤には耐熱性、対抗変色性、導電粒子による安定した信頼性などが求められますが、これらはすでに確保されているとのことです。プロセスも安定しており、今年中に装置も出荷される計画です。展示ブースでは、装置を使って多チップ一括実装や、製作したLEDサンプルを点灯させるデモを披露していました。
大橋製作所のLEDフリップチップ実装装置「LMS-2000」のパネル展示
ソニーケミカルの「Anisotropic Conductive Adhesive(LEP)」のプロセスフロー
LEPプロセスで作成されたLEDモジュール


トクヤマの6インチサファイア基板
トクヤマは6インチのサファイア基板を参考展示しました。CZ(チョクラルスキー)法による単結晶サファイア基板で、今後、実証実験を開始する計画です。トクヤマは2000年からCZ法による大口径フッ化カルシウム単結晶の開発に取り組んでおり、今回、これまでの結晶関連技術活用し、サファイア単結晶の成長からウェーハ加工までの一貫して行います。投資額は10億円で、単結晶の育成は徳山事業所で行い、加工工程は秋田県に加工設備を整備してサンプル製造を開始します。LEDは、これまでTV用バックライト光源が主な用途でしたが、今後は照明向けの需要が急増していくと見込まれています。同基板サイズは2~4インチが主流ですが、生産性の向上やコスト削減には大口径化は不可欠と見ており6インチから事業化を目指す計画とのことです。


[上原清志,LEDLED]

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