超環境型オフィス、清水建設新本社が竣工 - LEDのポータルサイト

超環境型オフィス、清水建設新本社が竣工

2012.5.28
ダブルクォーテーション

超環境型オフィス、清水建設新本社が竣工
~運用開始時にカーボンマイナス62%、将来的にはカーボン・ゼロへ~

清水建設(株)<社長 宮本洋一>が東京都より都市再生特別地区の指定を受け、環境技術の粋を結集して建設を進めてきた超環境型オフィス「清水建設新本社」が竣工、明後日、竣工式を執り行います。今後、現本社シーバンスS館からの引越し作業に着手し7月中に本社機能の移転を終え、8月1日に新本社として営業を開始するとともに、平常時の環境対策と非常時の事業継続機能を融合したecoBCP※のショールームとしてお客様を対象に公開します。

カーボンハーフビルとして計画された新本社は、2009年4月の着工当初から注目を集め、同年8月に新本社の隣地に開設(後に技術研究所に移転)した、輻射空調システムをはじめとする最先端の環境技術を設えたモデルルームには、ビル事業者やオーナーを中心に8千人以上が訪れました。また、建物の環境性能を評価するCASBEEの審査では、過去最高の9.7ポイントを記録、名実ともに新本社が国内最高の環境性能を備えていることが証明されました。

さらに、着工後も省エネ技術の開発に取り組み、パソコンの節電制御システム等を開発・採用した結果、オフィス運用開始時のCO2排出量は東京都の標準的なオフィス比で62%(年間3000t以上)の減となり、カーボンハーフを大きく上回る見込みです。計画では、2015年までに設備機器のファインチューニング等により削減率を70%にまで高め、その後は排出権プロジェクトで創出するCO2クレジットとのオフセットにより、カーボン・ゼロを実現する考えです。

一方、当社は都市再生と地域活性化に資するため、都営宝町駐車場と都営地下鉄宝町駅を拡充整備(供用済)するとともに、子育て支援施設の建設に着手しています。子育て支援施設は、来年秋にも中央区の施設としてオープンする予定です。

新本社の建設地である京橋は、1804年に神田鍛冶町で創業した当社が1903年から91年までの90年近くにわたり本社を構えた第二の創業の地でもあります。ゆかりの地への本社移転を契機に、新長期ビジョンの実現に向けた経営施策の推進にドライブをかけ、社業のさらなる発展を目指します。

※ecoBCPは、これからの施設やコミュニティに求められる基本機能(非常時の事業継続性機能を考慮した上での平常時のエコ対策)を意味する当社の商標です。

以上

≪参 考≫

1.新本社の概要
所 在 地 : 中央区京橋2-16-1
設計施工 : 清水建設(株)
規 模 : 建築面積2,170m2、延床面積51,355m2
地下3階、地上22階、塔屋1階、高さ106m
構 造 : 免震構造、鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)
工 期 : 2009年4月1日~2012年5月15日

2.環境関連の主な採用技術

ハイブリッド外装システム
建物外周部に位置する柱・梁を細分化して構築したフレームの中に、ガラス、耐震パネル、太陽光発電パネルを組み込んだ外装システム。細分化した柱・梁は、ガラス面から55cmほど張り出しており、太陽光を遮断する庇の役割も果たします。また、この外装システムと建物のエレベータコア部を取り囲むRCコアウォール(剛体)を連結することによって建物を剛な架構とし、超高層オフィスでありながら免震構造を採用しています。

タスク&アンビエント方式の空調・照明システム
タスク&アンビエントは空調システムと照明システムのベースとなる考え方です。アンビエントは室内全体、タスクは個別の空調・照明という位置づけになります。
<空調システム>
アンビエント役は輻射空調システムです。天井パネル内部に設置したパイプの中に冷温水を流すことにより室温を調整するので、不快な気流はなく、室内の温度差もほとんどありません。タスク役は、各人の机下に設ける給気口です。開閉することにより、好みに合わせて気流を確保できます。給気口から吹き出す空気は、デシカント空調機により除湿され、夏場に懸念される天井パネルへの結露を防止します。新本社では、これらの空調システムと地域冷暖房から発生する廃熱を利用することにより、従来の空調システムに比べて空調エネルギーを30%削減します。
<照明システム>
アンビエント役は天井面に設けた長寿命のLED照明です。この照明により、机上の明るさを約300ルクスに保ちます。一般的なオフィスはオフィス全体を700ルクスに保ちますが、デスクワークに多いパソコン操作には700ルクスは必要ありません。タスク役は各人の机上に設けるLED照明スタンドです。小さな文字や図面を読む時に点灯することで、天井照明とスタンド照明を併せて700ルクスを確保します。一方、太陽光も照明に利用します。従来、太陽光を遮断していたブラインドの機能を見直し、太陽光をブラインドに反射させて室内に採り込む「グラデーションブラインド」を採用します。こうした照明方式により、従来の照明システムに比べて就業時間中の消費エネルギー量を90%削減します。

太陽光発電とマイクログリッド
昼間の商用電力のピークカットなど運用段階における省エネを目的に、太陽光発電と蓄電池を商用電力と併用したマイクログリッドを構築します。その仕組みは、本社内で消費している電力や太陽光発電量の変動を常時監視することにより、太陽光発電による電力を100%消費した上で、同電力が急激に低下した際に蓄電池から必要な電力を供給して商用電力への依存を抑制し、ピークカットを図るというものです。この仕組みにより、新本社では契約電力を約70kVA分削減できます。また、太陽光発電により、CO2排出量を年間30t削減します。なお、採用する太陽光発電パネルは多結晶型と薄膜型の2種類で、合計設置枚数は962枚、面積2,000m2、発電量は年間約84,000kWhを見込んでおり、この数値は昼間に新本社で使用するLED照明の年間エネルギー量にほぼ相当します。

空調配管兼用スプリンクラーシステム
天井内を走るスプリンクラー配管と輻射空調用の冷温水配管の横主管を兼用します。これにより、使用配管重量を50%超削減しました。具体的には配管重量を1フロア当たり約3t、全館で約50t削減しました。これをCO2排出量に換算すると150tとなり、建設時の環境負荷の低減に大きく貢献したことになります。

パソコン節電制御システム
建物の中央監視システムにより、個々のパソコンの使用の有無や操作状況などの使用状態を管理します。パソコンの電源は入っているが、無操作時間の長いパソコンは、まずモニター画面を自動的にOFF状態にし、さらに操作がない場合には、CPUを自動的にスリープモードにします。このように二段階のステップで節電制御するシステムです。パソコンの無操作を認識する時間は任意に設定できますが、利便性を損なわない範囲で、例えば10分、15分、30分といった設定を行います。これによって、パソコンの消費電力量を最大で30%程度削減でき、ビル全体では5%程度の節電になる見込みです。

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