昭和電工、山口大とLED植物育成工場における新たな栽培法を確立 - LEDのポータルサイト

昭和電工、山口大とLED植物育成工場における新たな栽培法を確立

2012.5.11
ダブルクォーテーション

山口大学と共同でLED植物育成工場における新たな栽培法を確立
~ライセンスの供与と栽培設備の販売を開始~

昭和電工株式会社(社長:市川 秀夫)は、国立大学法人 山口大学(以下 山口大学)との共同研究により、LEDを用いた植物工場における新たな栽培法を確立しました。本栽培法は当社製のLED素子を用い植物育成に最適化した光照射を行うことにより、出荷サイクルの短縮および収穫量の増大を可能としたものです。当社は本栽培法に関するライセンスの供与を行うことにより、安全安心な食糧供給方式として期待されるLED植物工場の普及を図ります。

1.LED植物工場の特長とこれまでの課題

植物が生育するために行われる光応答には、光合成、光形態形成などがあります。このうち、光合成には波長660-700nmの赤色光で活性化されるクロロフィル類が、光形態形成には波長450-470nmの青色光と660-730nmの赤色光で活性化される各種色素タンパクが関与することが分かっています。また、光応答に適した赤色光・青色光の比率は植物の品種によって異なることについても、これまでの研究成果から判明しております。

LED照明は、その発光波長幅が他光源に比較し狭いことから、植物の光応答に適した波長を選択的に照射でき、結果として効率良く植物を栽培できると考えられています。昭和電工は、波長660nmで世界最高の発光効率(注1、2)を実現した赤色LED素子を開発し、すでに販売を行っております(注3)。LEDを用いた光源は蛍光灯と比較し、消費電力を約3分の1に抑えられること、発熱の影響を受けずに高い光量が得られること、従来の葉菜類から果菜類・穀物まで栽培が可能となったことなどのメリットがあり、大学、各試験研究機関、一般の植物工場等で広く採用されてまいりました。しかしながら、初期投資額が蛍光灯と比べ大きく、商業施設への本格的な導入には、投資回収期間の短縮が課題となっておりました。

2.新栽培法の特長と期待される効果

山口大学農学部 執行正義(しぎょうまさよし)教授と当社は、植物の成長と光応答の関係に注目し共同研究を進めてまいりましたが、このたび植物の生育により最適化したLEDの照射方法を開発いたしました。(以下Shigyo法)
Shigyo法による栽培実験の結果、同じ育成期間での葉菜類の収穫量が、通常の蛍光灯および赤青比を固定したLED照明と比較して、最大で3倍に増加いたしました(注4)。これにより、消費電力の抑制、収穫量の増加という両面の効果が得られ、LED植物工場において今まで課題となっていた投資回収期間の短縮が実現可能となります。
また、Shigyo法は藻類培養にも有効であることが判明しており、藻類を用いた有用物質製造やバイオ燃料生産への応用も期待できます。

3.Shigyo法の普及に向けて

昭和電工では、山口大学の協力を得て、商業施設および照明メーカーを対象としたShigyo法のライセンスの供与と、LED照明を中心とした昭和電工グループの栽培設備、周辺商材の販売を開始いたします。初年度は国内商業施設への普及を目指し、将来的には海外大型施設へのライセンス供与、および燃料産業、バイオマスコンビナート事業への展開も視野に入れて事業を進めていく予定です。
安全、安心、そして十分な食糧の供給という21世紀の人類共通の課題解決を目指し、当社の開発した栽培法による植物工場の普及を進めてまいります。

以上

(注1)発光効率:一定のエネルギーを使いどれだけ光にすることができるか示す値(単位:lm/W)
(注2)2012年5月現在(弊社の調査)
(注3)2009年4月2日付 弊社ニュースリリースご参照
(注4)植物の生育には、光応答の他に温度、湿度、風、養液、炭酸ガス等様々な因子が複雑に関与しており、また品種、個体によってもその生育条件、結果が大きく変わってきます。従って、今回の実験結果は栽培方法の有効性を示唆するものでありますが、結果を保証するものではありません。

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