LEDコラム第5回:LEDの製造工程(2)~エピタキシャル結晶成長工程~ - LEDのポータルサイト - LEDLED

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第5回:LEDの製造工程(2)~エピタキシャル結晶成長工程~
国内ではエコポイントが減額となり、一段落した感のある薄型TV市場ですが、LEDバックライトを搭載した機種は世界的にも人気になりつつあるとのことです。米DisplaySearchによると、液晶テレビのうちLEDバックライトを搭載するモデルの割合は、2010年第3四半期に23%となりました。薄型、低消費電力などを背景に今後も成長が続きそうです。それでは、今回もLEDについてわかりやすく解説します。前回の基板工程の続き、エピタキシャル結晶成長工程についてです。

LEDの製造工程(2)~エピタキシャル結晶成長工程~

エピタキシャル結晶成長工程

基板工程で作られたサファイア基板をエピタキシャル結晶成長工程によりn層、発光層、p層からなる積層膜を作ります。この工程は、LEDの特性の70%が決定する重要な工程です。エピタキシャル成長装置には、気相と液相の2種類があります。成膜したい結晶材料により、成膜速度、制御性などに得意・不得意があるため使い分けされています。

LPE法(Liquid Phase Epitaxy:液相成長法)は原料を一旦溶媒に溶かし、基板上にのせて溶液の温度を徐々に下げて過飽和状態にします。すると原料の結晶が析出するので、必要な厚さだけ結晶を成長させ、基板上から溶液を取り去ります。また、さらに別の物質を成長させるときも、別の溶液を用意し基板上で同様の作業を行います。高品質な半導体結晶が得られ、成膜速度が早く厚膜成長ができるのが特徴です。主に赤外(IR)光・赤色LEDで、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)の結晶成長に用いられています(図1)。

MOVPE法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長法)は、有機金属やガスを用いた結晶成長方法です。一般にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法とも言いますが、ここではMOVPE法と呼びたいと思います。MOVPE法は量産性・再現性に優れており、多くの工場で採用されています。混合された原料ガスが加熱された基板に達すると,分解・化学反応を起こします。この結晶情報を引き継いでガスが物質となり堆積していきます。パラメータとなる温度、圧力、材料ガス供給量などを広く組み合わせることができるため、選択肢があるのが特徴です。材料の高純度化や薄膜結晶が得意などため、積層構造のデバイスが作成できます。(図2)

図1:LPE法(液相成長法)
LPE法(Liquid Phase Epitaxy:液相成長法)
図2:MOVPE法(有機金属気相成長法)
MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長法)法



LED各層の形成

InGaN(インジウムガリウムナイトライド)系のLEDには、発光にダブルヘテロ構造の1つである多重量子井戸構造(MQW)が使われており、このLEDはInとGaの比率を変化させることにより、発光波長域は赤外から黄色、緑、青、紫外まで作ることができます。この時の発光効率は400~420nmの紫外線領域が一番優れており、ここを頂点に長波長側は緩やかに減少していきます。これに対し、短波長側は380nm以下で急激に効率が悪くなります。原因として、InGaN層の組成不均一が減少し、転位の影響を受け始める他、GaNが370nm以下の光を吸収してしまうためと考えられています。InGaNの製造にはMOVPE法が使われています。

発光層はn層、発光層、p層からなりますが、この前にサファイア基板との間にバッファ層を入れます。サファイア基板とGaNは格子定数が大きく異なるため、エピタキシャル成長がうまくできません。このため、格子定数をほぼ等しく、温度膨張係数が同じ結晶上に形成できる技術の開発が望まれていました。このバッファ層を開発したのが第1回でも取り上げた名古屋大学の赤崎勇氏と天野浩氏です。LED層はバッファ層、n層、発光層、p層と積層されます。全体の厚みは75μm前後というとても薄い膜です。

[上原清志,LEDLED]

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